たどり着いた場所は、確かに十星の言った通りの場所だった。
あたしはここをずっと知っていたのに、ずっと知らなかった。
「……どうして」
十星は赤レンガの塀沿いの道路に車を停めた。
「どうしてここに連れてきたの」
「これに着替えて」
どこから、いつの間に出したのか、十星は女物の服を投げてよこした。
まるでファッション誌にでも出てきそうな、あか抜けた服。
高校生が着るにはちょっと勇気がいるような。
「何でそんなこと訊くかなあ。千夏が知りたいこと、ここにはないの?」
ない、と。
そう言えば嘘になる。
「……だけど、今は関係ないことでしょ」
違う理由でここに来れたら、きっとあたしはワクワクしたに違いなかった。
なのに、どうしてよりにもよって連れてきてくれたのが、十星なんだろう。
「関係あるかないかは、見た後で千夏が決めたら良い」
十星の手が、服を抱えたあたしの手に被さる。
あたしはいつの間にか震えていたらしかった。
「千夏が決めたことが、もし……嘘でも。千夏がそれでいいなら、俺もそれでいい」



