タオルを首に掛けて水滴が髪から滴るのを防ぎ、ペンを握った。
「ぬれてしまったので干させてください」
「2年 内と……」
バン!
「っう!?」
内藤の藤の字、最後の払いが大きく延びた。
たった今、大きな音をたてて開け放たれたドアの方を振り返ると、そこにはびしょ濡れの高瀬君。
珍しく険しい顔をしている。
その視線があたしをとらえると、途端に笑顔になった。
「おはよう内藤さん」
「……おはよう」
「内藤さんも遅刻かー。考えることは同じだね」
と、ウインクなんかしてその場で制服を脱ぎ始めた。
「ちょ、ちょっと!更衣室で着替えてよ!」
「はいはい。あはは」
またひとをからかって……
あたしは更衣室のカーテンの向こうに消えてゆく背中を睨んだ。
そして歪んでしまった藤の字を見て、新しいメモ用紙を千切った。



