そんなやり取りをしながらカレーがほぼ完成。
普通にカレーライスを作っただけ。
包丁を握る十星を見て、ナイフを突き立てられていたらしいことを思い出したりはしたけれど。
それ以外は料理に集中していた。
何しに来たのこいつ。
カレーを煮込みながら横目で十星を見上げると、ちょうど目が合った。
「会沢家での一日は」
十星は目を細めてあたしを見下ろしている。
「大収穫だったでしょ?」
「収穫?」
怪訝なあたしを無視して「ふふふ」と含み笑い。
「まぁ、情報量は少し操作させてもらったけど」
収穫どころか、佐紀子さんに別れろ宣言をされてむしろマイナスですが……
「また……、ダメって言うの?」
正直、そろそろキャパオーバーだ。
十星の行動や発言に振り回されっぱなし。
ない頭でその意味や意図を考えてきたが、考えてもわからないし答えは教えてもらえない。
やきもきする一方で、悪意がないならもうそれでいい、とも思う。
「そうだね。でも今回は『今は』ダメかな。俺もう帰らないといけないから」
十星は「じゃ」と玄関へ歩き出した。
あたしは足取り重く、けれど無意識にその後を追う。
玄関にはスニーカーが無造作に脱ぎ捨ててあった。
こいつ、一応玄関から入ってきたんだ。
礼儀正しいのか悪いのか。
十星は引っくり返った靴を足で器用に直してそのまま履いた。
そしてドアを開けて外に出た。
「お邪魔しましたー」
バタンッ
ちょっ、声でか!!
大貴が起きたらどうすんの!?
「二度と来んな」
って大貴―――ッ!?
仏頂面の大貴が背後に立っていた。
「お、はよ……」
「おはよ」
十星の奴、とんでもない爆弾を置いてった。



