もしかしたら井乃月に捕まっていたかもしれなかった。 警備に当たったのは十星と同等もしくはそれ以上の力がある人たち。 彼らに追われて逃げ切れたことの方が不思議なくらいだ。 そんな危険を冒してまで、掛け軸も盗らず、またこうしてノコノコ戻ってくるなんて気が知れない。 「伏線、かな」 「フクセンって?」 「……」 十星は顔から笑みを消すと、あたしの顔をまじまじと見た。 「……じゃあ内緒」 「じゃあって何!」 みんなしてあたしのこと馬鹿にして!