「帰るぞ」 暗がりの部屋で、逆光で、涙で霞んで。 大貴の表情はわからない。 「王子様に見つかっちゃった」 十星が言う。 そしてあっさりあたしを解放した。 「さすがSランクだね。気付かなかったよ」 楽しそうな十星の声。 あたしの頭はひどく混乱していて、何を最優先すべきか考えるけれど、考えるほどにそれは遠ざかった。 考えなきゃ。 そう思うほど、に涙が零れた。 安心が思考を止める。 何より、安心した。 大貴が来てくれて。