「手伝うって……」 「俺の特技は変装なのよ。お嬢さん」 ああ、なるほど。 でも。 「顔変えられそうだからいらない」 別人にされそうだ。 「……」 あたしは鏡に向きなおってマスカラとの格闘を始めた。 「あっそ」 予想外の反応に振り返ると、もうそこにあの男はいなかった。 あれ……? 無理やりやるかと思ったのに。 あたしは瞼をマスカラだらけにしながらも何とかまつ毛に塗り終え、アイラインは諦めた。 瞼についたマスカラを取ると制服に着替え学校へ向かった。