咲妃さんはそのまま私の元を離れ、ナースステーションの方へ歩いて行く


取り残された私は後を着いて行き、ある病室の前で立ち止まっている咲妃さんの後ろに立った


何もなかったかのように咲妃さんが振り返る


「ここだよ愛斗の病室」


元通りのフレンドリーな笑顔だった


さっきの言葉は何だったのか…私の頭がどうか
しちゃったの?


病室を覗くと…意外な
光景が目に入ってきた


「はい、あ~んしてっ
やだ~、ちょっと真面目に食べなさいよぉ」


愛斗くんが、私たちに背を向けて座っている女の人と楽しそうにしている


フルーツを食べさせてもらってるんだけど、愛斗くんはフルーツのささったフォークじゃなくて


冗談なのか、舌を出して彼女の手をなめようと
している所だった