春風が気持ちいいから
窓を開けておいた


春の香り…?
風にのって新芽のいい
香りが車内に漂ってくる


目を閉じて心地
いい気分でいると


『…ガヤガヤ』


車内が騒がしい


うるさいな…せっかくのいい気分が台無し!
邪魔しないでよね


『…ガタンッ』


その音にハッとする


げ…あれは…


ドアの閉まる音!!


ヤバッ!!
ここで降りなきゃなんないのに朝から私は一体何をボケッとしてたんだろ


自分に酔ってたのか春に酔ってたのか…うっとりし過ぎてて駅に着いたことに全く気づかなかった


反省する間もなく
なぜか私は突拍子も
ない行動に出てしまう


後で思い出しても、何でそんなことをしたのか
理解できないんだけど


そう…これが
そもそもの間違いだった

自分の手で、これから
起きる出来事をわざわざ引き寄せてしまった…


私はとっさに電車の窓から手を伸ばし、私から
一番近い位置に立ってる制服姿の男の子めがけてつかみかかった


ガシッ!としっかり
と彼の腕にしがみつく