しばらくしてカナちゃんが重い口を開く

「アタシ…帰る」

「大丈夫…?何か
さっきから変だよ」

青い顔して手を固く
握りしめてる

「あんたたちずっと繋
がってたんだ…何で言ってくれなかったの?
アタシに気遣ってた?」

「まさか…時間がたつにつれ咲妃の名前なんか誰も口にしなくなったろ?

あの時時間って怖いな…って思った、だからオレらだけで咲妃を支えようと思ったんだ」

愛斗くんが呟く

「…えっと…何か
ややこしい話?
私外出てよーか?」

恐る恐る言うと
カナちゃんが私の
腕をガシッとつかんだ

「愛斗にちょっかいかけてやられたのって咲妃なんだよ?…アタシがあの時電話に出てれば…あんなことにならなかった」

ふるふる震える手で
必死に私の顔を見上げる

…あの子がお姉様の標的になった本人?!

腕なんて細くて
私が触っただけで
折れちゃいそうなのに

線の細い少女が暗い
トイレで倒れる姿を想像してブルッと身震いする

「カナのせいじゃない
…もう咲妃は何とも思っちゃないよ、欲しい物手に入れたんだから」