小さい頃───


母は寝るまえに、いろんな話をしてくれた。


東の空に浮かぶ、大きな桃色の島の話や、彼女のおじいさんが会った、銀色の女神の話。


全部が大好きで、何度もねだって聞いたおとぎ話。


その中でも、一番印象に残っているのが、「希望の木」の物語だった。



夜になると、ルナは様々な物語を僕にねだった。


かつて、僕がそうだったように。




「月の砂漠のそのまた向こう・・・」


「それって、どこにあるの?」


「ここから、西へずっと行った場所だよ。でも、そこに行って帰ってきた人はめったにいないみたいだけど。」