私は人が賑わう場所へゆっくりと近づいた

しばらくするとまた声をかけられる

「かーのじょ!一人?」

来た来た!しめしめ…

「どうして?」

「俺と遊ぼうよ!」

「残念!あなた、スッゴク私のタイプなんだけど…ごめんなさいね」

わざとらしく笑顔で断ってみた

「え〜、何でダメなの!?いいじゃん、いいじゃん」

「だって、私、連れがいるんだもん」

「え?何処に?」

「うん、あそこの『VIP』ルームの人!」

私はあえてVIPを強調しつつ坊っちゃんを振り返りながら、目線を促す

「………え?」

「私、あの人の『婚約者』だから…ごめんなさい」

「あ、はい…」

男は呆然としながら去っていった!

当たり前

あそこにいる人がどんな人か、一般市民なら太刀打ち出来ないくらい酔っぱらいだって解ること

それに姿だけだって、この連中よりはずっと坊っちゃんの方が上級だ

相手を諦めさせるには、相手よりずっと上のレベルの人間がいるのもまた断る口実になる…



そういうことでしょ?坊っちゃん…




その日の試験に、私は見事合格することができた!