「手、繋ぐ?」 「……」 桜子はまだ無言のまま頷いた。 「じゃあ、手……貸せよ」 桜子はゆっくりと手を差し出した。 そっと そっと 繋がれた手。 僕は、これ以上恥ずかしくて見ていられない。 邪魔しちゃ悪い。 かなり離れた場所からふたりを見守っていた。 しばらく何も会話をしないまま、ただ手を繋いでいた。 いいな、こういうの。 すごく純粋で、初々しくて、かわいいな。