「俺は淳平のことも大事だから、今はそれ以上言えない」
涼太、いいやつじゃん。
涼太は、桜子を抱きしめていたことをやっと気付いたように、ぱっと手を離した。
「うわぁっ!俺、何やってんだ?」
涼太はベンチの端まで逃げるようにして移動した。
「私のことそんなに嫌い?」
桜子の逆襲。
「いや。嫌いって言うか、むしろ好きだし」
「じゃあ、近くに座ろうよ」
桜子が涼太のそばに寄っていって、照れくさそうに目を合わせた。
「まぁ、そういうことだ。すぐにどうにかなるわけはないけど、俺の気持ちだけはちゃんと知っていて欲しかった」
「私も…… 本当は初めて高校で会ったときから好きだった」
涼太は、ばーかと言って、桜子の肩を自分の肩で押した。

