よし。
これで安心だ。
今日はもう僕の呼び出しは、ないだろう。
暖かい南の島にさよならを言い、少し肌寒い場所へと移動した。
桜のつぼみが、春を待ちわびていた。
去年のこの時期、この場所ではもう桜が咲いていたのに。
懐かしい校舎。
懐かしい匂い。
僕は、ある高校の校門に腰掛けた。
僕が研修で「学校」へとやってきたのはちょうど1年前。
人間界に勉強に来て、最初に辿り着いたのが、この『虹色学園』という高校だった。
妖精の仲間の間で噂になっていた。
――虹って綺麗なんだって――
僕は、虹が見たかった。
そして、選んだのがこの高校。
ただ名前が気に入っただけ。