公園に足を踏み入れたのは、涼太。


そんなに走らなくても桜子はちゃんと涼太を待っていると思うよ。


運動会の徒競走並の全力疾走でやってきた涼太は、暗い公園を見回した。




グリーンのエナメルのサッカー部のバッグを、公園のベンチの上に無造作に置いた。



涼太は落ち着かない様子でベンチに腰掛けたり、また立ち上がったりを繰り返す。




涼太、かわいい。


この姿を桜子見せてあげたいと思った。





と、その時……





涼太が来たのとは別の方向から音が聞こえた。


桜子が、自転車に乗ってやってきた。



かごの中には、ふたりの愛のボール。