涼太は桜子の気持ちを確かめる為に言ったのかも知れない。 でも、桜子にはそうは受け止められなかった。 桜子は黙って走り出した。 自転車に飛び乗った。 「おい、待てって!!」 涼太の声が静かな住宅街に響く。 「もういい!!もう返す!!」 桜子はかごのボールを涼太に投げた。 悲しく響くボールの音。 ボールを拾い上げた涼太は、そのボールをじっと見つめたまましばらく動けなかった。