佐伯さんは2時間半お店に滞在し、
17万という会計をキャッシュで払って帰っていた。
連絡先を聞くと、あっさりと断れてしまった。
でもまた会いに来るから。と。
「愛、お疲れ様。もう1時だ、上がろうか。」
青木さんは満足そうにそう言った。
着替えを終えて、あたしは5万円を手渡しされた。
「え。こんなにもらえるんですか?」
予定では4000円で6時間。
2万円くらいかなと予想していた。
「ああ、今日指名もらったでしょ。その分、プラスだよ。」
「こんなに・・・?」
「この仕事のいいとこはね、頑張りが帰ってくるとこ。
今日、愛は、佐伯さんに頑張って接客した。
だから、その分、愛には多くお給料をあげる。
当たり前でしょ?」
嬉しさと、怖さと、不安が、入り混じった。
この仕事の大変さを、あたしはまだきっと解ってない。
毎日、こうなるわけじゃない。
でも、上手く行けば、毎日こんなにお金がもらえるんだ。
「で、愛。」
「はい。」
「さっきのお客さんなんだけど。
あれね、元々さやかのお客さんなんだよね。」
「えっ、そうなんですか!」
「うん。これから愛がもっと頑張れるならきっとあの人、愛をずっと指名する。
鉄板のお客さんになる。
これからこの仕事やってく上でね。
・・・あとは、愛次第。
この仕事するか、しないか、ここで働くか、働かないか。
連絡してよ、また。」
「・・・はい。お疲れ様でした。」
「お疲れ。いい返事待ってるね。」
あたしは五万円を財布に仕舞い、
お店を出た。
