「充てンめええ!うちの可愛い銀を泣かせやがったな?!フザッケンな!銀泣かせたらケツから内臓引きずり出すっつっただろうが!」
ギャアアアア!
最強お姉さまが出て来たよこれ!もう俺終わったよこれ!内臓だされちゃうよこれエ!この齢にしてなんつうプレイ強要だよこれエエ!
「あ、ああああ杏姉!俺じゃないって!俺今までに銀ちゃん泣かせた事ないって言ってるでしょーがー!」
「るっせえ!銀、涙目だろうが!取り敢えずお前でイイから殴らせろや!憂さ晴らしさせろ!」
ドスのきいたハスキーな声で怒鳴り散らし、パンツ見せてなんぼぐらいの短いスカート丈に、もうそれ本当に制服ですか?
私服じゃね?状態の格好でオレンジ色の髪をかきあげるこの人は、銀ちゃんの七つ上のお姉様。東雲 杏、
戦闘力53万のヤンキー完全体です。
「ミツ、また漏れてる」
「ファッ?!」
銀ちゃんが深い深い溜息吐いたと同時に、天地がぐるんとひっくり返った。いや、正確にはひっくり返された。魔王に。
「ミィイイイイツウウルゥウ!」
「いで、いでででで!ちょ、ギブ!杏姉マジでギブ!ギ、ギギギギギブミーーー!」
あ、やっべ。素で間違えた。頼んでどうすんだよ。今日マゾネタどんだけだよ。別に目指してないわ。ドMの星とか目指してないわ。目指すならもっと別のもん目指すわ。
「て、違があああぁう!」
俺は全力の雄叫びと共に、火事場の馬鹿力ヨロシク杏姉を必死で押し退ける。
「ア゙ァン?!」
「ちょ!マジまって!」
「…ほう、充のくせに生意気じゃねーか」
凄味の増した顔と声ですぐさま距離を縮めてくる杏姉に、両手を突き出してストップ降参のポーズ。無理ムリ!ほんとムリだから!戦う意思とか爪の甘皮程もないから!
その時、
「杏姉、本当にミツは関係ないよ?そろそろミツ、死んじゃう…」
ぎ、銀サマァアアアア!
やっとで誤解を解いてくれた銀ちゃんに、俺は心の底から感謝したのだった。
ちょっと放置時間長くね?もしかして、実は楽しんでたんじゃね?なんて疑問が浮かんだのは、ココだけの秘密だけど。