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あの後、俺達は本当にカラオケに行って、色んな事を沢山語って、銀ちゃんを家まで送り届けた。

「いらない」

って、冷たくあしらわれそうになったけど、そこは強引に!だって杏姉とも約束してたしな。そして、感動の再会ってわけだ。

銀ちゃんを見た杏姉の目には、うっすらと涙が浮かんでいた。

「――銀!」

そう言って飛びついた所までを見送って、俺達はそれぞれの帰路に着く。




だけど、俺は“ある事”を考えていた。

それを実行する為に、爽と要が完全に見えなくなった事を確認して、帰り道を変える。

「さーて、ここからが主人公の見せ所でしょ」

くしゃっと前髪を崩して笑う。

「お願いだから家に居てくれよ」

ポケットに押し込めていたスマホを取り出すと、着信履歴から迷わず『クソジジイ』を選択。

ワンコール、ツーコール、

「…あ、親父?ちょっと頼みたい事と、調べて欲しい事があんだけど」

勝手な事をするなって、銀ちゃんには後で怒られんだろーなあ。爽と要も切れるかもしんねえ。まあ、もう気持ちは固まってるんだけど。

「サンキュ!この恩はちゃんと返すって」

通話終了をタップして、再びスマホをポケットの中に押し込む。そして、親父から聞いた住所を頭の中で描いた。

「結構近いじゃん、――先輩」

ま、再戦と行きましょーや?