「お前らと居ると楽しくて、言うと離れて行くんじゃないかって思って、結果的に騙す様な利用する様な形になってた…」
言葉を詰まらせる銀ちゃんに、自然と俺達の足は進む。
「銀ちゃんバカだなあ」
「俺達が離れるわけねーだろ?」
「だって要達は…」
「「「大好きだから」」」
そう、銀ちゃんの事が大好きだから。
頭、肩、手、それぞれに触れて温もりを感じた。今、生きている温もりを。
「銀ちゃん、帰ろう?杏姉も待ってるよ」
「帰っていいのかな、俺…」
涙を拭いながら俯く銀ちゃんに、昔の銀ちゃんが重なった。ほんと、バカだなあ。
「あったりまえじゃん!つうか帰るんだっての!最初っから言ってるでしょーよ?」
にかっと笑って背筋を伸ばす。
綺麗な青空は際限なく続き、その、見渡す限りの蒼は。優しく俺達を見守ってくれていたんじゃないかなと思った。
此処に来た時からずっと。
「んじゃ!東雲組復活を祝って、これからカラオケでも行くか!」
「あ!要さっき銀さまが歌ってた歌が聞きたーい!ねね、行こうよ銀さま~」
二人に引っ張られ、銀ちゃんはよろめきながらも腰を上げる。そんな様子を見ていると、自然と笑みが零れた。そして、俺はもう一度蝶子さんの墓前に立って手を合わせ。
「また、来ます」
心からの思いを誓った。
気のせいだろうか。声が聴こえた気がする。爽やかな風が運んでくれた、銀ちゃんの言葉と同じ声が。



