「俺達が銀から蝶子さんの話を聞く変わりに、蝶子さんには“これから”の銀の話をしに来ます」
「あーあ、もう本当にやんなっちゃう!要ってばどうして男なんだろ。蝶子さん、羨ましいよ。こんなにも銀さまに思われて。きっと、この先もずっと」
爽と要、二人の
温かい思いと優しい願いは、蝶子さんにも銀ちゃんにも伝わったよな?なあ、だから銀ちゃん?帰ろう、俺達の居場所へ。
銀ちゃんは知ってるだろ?
俺がどんなにしつこくて強引な奴か。解らないって言うんなら、伝わらないって言うんなら、何度だって言うよ。何度だって叫ぶよ。
「銀ちゃんが必要だ」って。
爽やかな風と共に、
「―――――」
その声は確かに俺達の耳に届いた。
いつの間にか、銀ちゃんの視線は空から自分達の方へと向けられており、その大きな瞳からは涙が溢れている。
「騙すつもりじゃなかった。何度も言わないと、と思ってた。でも…」
ぱた、ぱた、
コンクリートの上に濃い斑点が出来ていく。



