◆◆◆
長く、
緩やかな坂道を登った先にあったのは、小さなお寺。此処に蝶子さんは眠っているんだ。
そして、銀ちゃんが居る。
逸る気持ちを抑えて、俺達は一つ一つお墓を確認していった。人の気配は未だない。
「此処であってるよな…」
手にしている紙切れを見直して、小さく呟く。空は綺麗な青色で、手には白を基調とした花束が一つ。
「どこに居るんだよ。銀ちゃん、蝶子さ…」
「――しッ!」
俺の声を制止して、要が突然人差し指を唇にあてた。
「聴こえない?」
意味が解らず、思わず首を傾げる。けれど、その首はすぐに真っ直ぐに戻った。
「……歌ってる?」
「これ、…銀か」
「ええ、銀さまよ。きっと」
その、澄んだ歌声は俺達の心を掴んで離さない。優しくて、切ないメロディに、意外にも相性の良い低音。
ある女性シンガーの一曲。
それを、完全に自分のものにしている。ストレートに、心に響いてくる。こんな気持ちは初めてだ。
「…銀ちゃん」
歌声の聴こえる方へと、
俺達は足を進めた。声に手繰り寄せられるように。声に導かれるように。
長く、
緩やかな坂道を登った先にあったのは、小さなお寺。此処に蝶子さんは眠っているんだ。
そして、銀ちゃんが居る。
逸る気持ちを抑えて、俺達は一つ一つお墓を確認していった。人の気配は未だない。
「此処であってるよな…」
手にしている紙切れを見直して、小さく呟く。空は綺麗な青色で、手には白を基調とした花束が一つ。
「どこに居るんだよ。銀ちゃん、蝶子さ…」
「――しッ!」
俺の声を制止して、要が突然人差し指を唇にあてた。
「聴こえない?」
意味が解らず、思わず首を傾げる。けれど、その首はすぐに真っ直ぐに戻った。
「……歌ってる?」
「これ、…銀か」
「ええ、銀さまよ。きっと」
その、澄んだ歌声は俺達の心を掴んで離さない。優しくて、切ないメロディに、意外にも相性の良い低音。
ある女性シンガーの一曲。
それを、完全に自分のものにしている。ストレートに、心に響いてくる。こんな気持ちは初めてだ。
「…銀ちゃん」
歌声の聴こえる方へと、
俺達は足を進めた。声に手繰り寄せられるように。声に導かれるように。