眼帯×CHOCOLATE

でもさ、正直嬉しかったりもする。懐かしいとさえ感じるこの雰囲気。
 

「あー、ごほん。そんじゃまあ、いっちょ魔王の住処に行きますか?」

そう、目的地は銀ちゃんの家。とは言っても、銀ちゃんはきっと居ないから“魔王”に聞こうと言う安易な俺の作戦。

魔王、東雲杏。


「俺達、生きて帰れるかな?」

宙に虚しく浮いた自分の言葉。爽も要も空気を読んでくれたのか、その辺りの事には触れないでいてくれた。戦う前からの戦意喪失は避けてえもんな?

おしっと無駄に気合いを入れて、二人の道案内役を買って出る。

「ではでは、ついて来い野郎ども!」
「…野郎なんて野蛮ねエ」
「まあ、そこはミッツンだし」

「おい!」

道中、やっといつものペースを取り戻した爽と要に弄られながらも。俺なんでこんな遊ばれんの?と、単純な疑問を浮かべながらも。俺達は無事に銀ちゃんの家の前まで辿りついた。


「銀さまの家、はじめて!」

要の目が輝いております。

「そう言えば俺もはじめて」


ワオ、爽まで目が輝いてるよ。珍しいこともあるもんだ。ああ、俺?ふふん!俺はあるともさ!だって幼なじみだもの!髪の毛を染める時だって入れて貰ったもの!

「「うわ、ウザ…」」

だから、息ピッタリ過ぎだっての!素敵なユニゾンですこと!つうか俺も混ぜて?!たまには俺も仲間に入れてくれよ!マジで!なんて、外でギャーギャー騒いでいると。


「――銀か?!」

荒々しく玄関の扉が開かれたと同時に、黒い影が俺を殺す勢いで押し倒してきた。