眼帯×CHOCOLATE

拝啓、お母サマ。


右も左も人相の悪い男だらけのこの学園で。久しぶりに再会した幼なじみは、何もかもが昔とは正反対になっていました。

いや、訂正。

はにかんだ笑顔だけは、何も変わっちゃいなかったな。あの頃のままの銀ちゃんだ。

「頂点の強さ見せつけんぞ!」
「「「オ゙オオォ!!」」」
「ほら、ミツも」

「お、お~~?」

取り合えず、

普通の学園生活を送ろうってのは無理みたいです。まあ、いっか。これはこれで面白そうだし。わりと俺、こーゆうの嫌いじゃないんだわ。痛いのは勘弁だけど。

ん?てか、ちょっと待て。


「銀ちゃん、もしかして…」

俺の弱々しい問い掛けに、銀ちゃんはにっこりと微笑んで。胸ポケットからチョコレートを一つ取り出した。

「あ、やっぱり?」

予感的中。

返事の変わりにもう一度微笑みをくれると。器用にチョコレートの包装を剥がし、その形の良い唇の隙間に茶色い塊を捻じ込んだ。

こうなったら、銀ちゃんはもう最強だ。

マジで覚悟を決めるしかないらしい。ったく、転校初日から人生ハードモードだわ。それでも、ちょっとワクワクしているのは何でだろう?

「――っはは!」

逸る心を余所に、俺は黒凰学園の男達の戦場へと向かう。嘗ての幼なじみと共に。