眼帯×CHOCOLATE

◆◆◆

あの日を境に。

銀ちゃんは俺達の前から姿を消し、黒凰学園は再び鬼が支配するようになった。

如何に今まで銀ちゃんが、この学園を抑えて来ていたのかが解る。


「なあ、爽ちゃーん要ええぇ~」

昼間っから学生服姿でファミレスで項垂れる俺達。好奇の目が注がれるけど、学生服の校章ボタンで放置されているみたいだ。ド底辺ヤンキー校バンザイ。

「おーい、聞いてんのオ~?」

ウン、

泣けてくるぐらいの無反応。ズビズビと、溶けた氷で薄くなったメロンソーダを啜りながら、俺はもう一度声をかけた。

「なあ!二人と、…もオオ?!」

突然、わんわんと泣き出す要。

そんな要の背中を擦りながら、爽は一つ溜息を吐いてゆっくりと俺の方に顔を向ける。

「銀は何処に行ったんだろうな」
「―――」

カランと、

グラスのなかの氷が奏でる虚しい音。




「……二人はさ、銀ちゃんに騙されてたとか思ってたりする?」

重苦しい空気の中、俺は慎重に口を開いた。確かにあの日、銀ちゃんは“悪かった”と言ったんだ。どんな思いで言ったのかはわからない。けれど、どうしても俺には。

「俺は、騙されたなんて思ってねーよ。それどころか銀には感謝してる」
「か、…かにゃめだってエ!そな…事っ…思ってないわ゙……よオォ!」