「……悪かったな、みんな」 ぺたんと、要が床に落ちる 爽の足が、更に後退する 椎名瑞樹は、煩わしそうに血を舐め 野々上恵は、ゆっくりと立ち上がった 周りの取り巻きは、動かない そして、俺は 瞬きすら出来ずにいた 『――銀ちゃん!』 言葉にならなかった言葉は 無残にも喉の奥で固まって消える。 銀ちゃんは笑っていた 寂しそうに笑って、姿を消した 忽然と、姿を消したんだ。