眼帯×CHOCOLATE

◆◆◆

僕が目を覚ました時。

全ての事が終わっていた。椎名柚樹は逮捕され、二大勢力だった夜光蝶と鬼蜘蛛は解散。スナック響は現場検証の後、取り壊しが決定。そして、

そして。


「ねえ、嘘でしょ?杏姉…」

今まで杏姉が泣いている所なんて、見たことがなかった。大粒の涙を流し、鼻を啜りながら杏姉は首を横に振る。

「本当なんだよ、銀」


――蝶子は死んだんだ――





世界が、黒く塗りつぶされていく。

もう蝶子ちゃんに会えないの?もう蝶子ちゃんの声が聞けないの?もう、蝶子ちゃんの笑顔が見られないの?

「銀、見てみな…」

肩を揺らしながら、しゃくり上げながら、杏姉は手鏡を渡してきた。それを僕は機械的に受け取り、ゆっくりと持ち上げる。

そこに映し出された自分の姿。


髪の毛の色は抜け落ち

左目には包帯が

グルグルと巻いてある








「蝶はそこに居るよ」