「……っ銀!蝶、こ―――」
薄れ行く意識の中で、杏姉の姿を見た気がした。そして、放心状態の椎名柚樹も。
ずるずると力なく落ちていく蝶子ちゃん。
程無くしてサイレンの音も聞えてきたような、そんな気がする。瞼が重い。意識が、途切れる…
そんな中、蝶子ちゃんの声だけがはっきりと耳に届いた。脳に直接、届いた。
僕は、忘れない。
ねえ、銀
銀はとっても強い子だよ
だから自分を責めないで
自分を悲しまないで
私はずっと見てるから
これからもずっと見て行くから
銀と、一緒に
だから、笑ってよね
もっと強くなるんだよ
私が居なくてもさ、生きるんだよ
だって、銀が生きることは
私の“生”にもなるんだ
銀、大好きだよ
銀になら、
喜んであげちゃう
『私が、銀の左目になるよ』



