眼帯×CHOCOLATE

首根っこを引っ掴まれ、

そのままの足で蝶子ちゃんの居る部屋まで強制的に連れて行かれた。


ギイと、再び固く閉ざされた扉。

僕と、蝶子ちゃんと椎名柚樹だけの空間。この男の意図はわからない。けれど、この状況が最悪だという事だけは理解出来た。


「!」

乱暴に投げ飛ばされたかと思うと、すぐに凄まじい痛みに襲われる。

「…うぐ…っ」

革靴が、めりめりと自分の体にめり込む恐怖を感じた。内臓が押し潰されていく。

「やめて…え…!銀を離して!」
「あ゙ああ!」

蝶子ちゃんの声に、更に力が込められた。男の目に光はない。光どころか生気すら無いように思う。

「蝶子オ?コイツが原因なんやろ?コイツが原因で俺と別れたいなんて言い出したんやんなあ?」
「…ち、違う!違う違う違う!もう別れたいなんて言わないから!だからその子を解放してあげて!お願いだよ柚樹い!」

カチャカチャと金属の音が聞える。

蝶子ちゃん、震えているのかな?

「あーかーん。もう、コイツは殺す。俺の蝶に触れた罪は重いんやで?これに懲りて蝶子!よー覚えとき!俺に歯向かったらどうなるんかをな!」
「…ぐっ!…ああ…あ゙…げほッ……っ」
「止めて…やめ…ヤめてエエ!」

暗闇の中で何か鈍い光が見えた。

そして、それがナイフなのだと理解するまでに。僕の途切れそうな、鈍った思考回路でも、時間はそんなにかからなかった。