眼帯×CHOCOLATE

何かないか、何かないか、辺りを見渡して使えそうな物がないかと必死で探した。

そして目についた鉄パイプ。


「…これだ」

重く、冷たい感触。

顔を青くさせた人達が、僕のもとに駆け寄る。口々に何かを叫んでいるけれど、僕には何も見えない。何も聞えない。ただ、

蝶子ちゃんの笑顔だけが、そこにあった。

そして、鉄パイプを両手で握り、持てる力を全部使って思い切り振り上げた瞬間。




「やかましいなあ」

突然、閉ざされていた筈の扉が開いた。ピリピリと、空気が痛い。これが威圧感というものなのだろうか。


真っ黒な特攻服

真っ黒な髪の毛

そして、漆黒の瞳


――椎名 柚樹だ。


 
「なんや、このガキ…」

ジロリ、と睨まれ足が竦む。ここに居たくない、息を吸いたくない、見られたくない。

まるで、身体中の細胞が警告をしてくるみたいに。全身が、目の前の人物を拒絶した。

「お前らア…!なあーに部外者簡単にいれとんや!ブッ殺されたいんか!ア゙ァ?!」

コワイ、コワイ、コワイ!

思わずぎゅっと目を瞑る。

暗闇の中で、なんとか答えを手繰り寄せようとした。けれど、辿りついた先は絶望。