眼帯×CHOCOLATE

 
「マージでかあ…」

これからどうやって、この最悪の状態を粉砕しようかと必死で頭と体で考えていたところを。望んでない、悪い意味で。

銀ちゃんに救われた。


「――殺す」


その、声と破壊音は。

俺も、先輩も、そして周りの奴ら全員さえも、金縛りにさせるには充分で。

ぽたぽたと、銀ちゃんの手からは血が滴り落ち。その手にはガラスが刺さっている状態のままなのか、時折光って眩しく見えた。

こんなに殺気立った銀ちゃんは見た事がない。いくらチョコレートを食べているからって、こんな事にまではならない筈だ。それに、銀ちゃんは言っていた。

『感情のコントロールは出来るようになった』と。そう、確かに言っていたんだ。

それなのに、





「殺す、殺すころすコロス殺す殺すコロス殺ス殺してやル!!!」

本当に、ヒト一人ぐらい簡単に殺してしまうんじゃないかとさえ錯覚してしまう形相、絶叫。まるで、スローモーション。


「……銀さま!」

要が銀ちゃんの下へ駆け寄り、爽が椎名を押さえる。銀ちゃんは暴れ、椎名は狂った様に奇怪な笑い声を上げた。

「―――!―――!」
「―――!―――!」

ああ、音が、声が、気配が、消える。

ただ、ひとつだけ。世界が崩壊していく音だけが。耳に届いた気がした。