眼帯×CHOCOLATE

視線が、重なり合う。

呼吸が、空気が、一体化していく。ピリピリとした緊張感に、何故か高揚感。はは、俺なんだかんだで染まっちまってたんだな。すぐ近くで皆もそれぞれに戦っている。

音、声、気配。

それらの全てが物語っていた。刺激してきた。俺も負けられない。負けたくない。絶対に守ってみせるんだ。俺たちの居場所を。

「―――」

まるで青春ドラマだな?
でも、不思議と嫌じゃないってね。

「今度は竹刀でやりたいっスね」
「うん、それもいいかもね?でも、僕はそれでも負ける気はしないよ?」
「ふっは!上等!」

じりじりと、お互いに間合いを詰めていく。ここで踏み込むか、踏み込まないか、先に、

相手の心を圧し折るのは、俺だ!


――ギィン!

警棒を振り下ろし、すかさず足払いをして先輩の上に覆いかぶさった。衝撃に耐えられなかったのか、先輩の眼鏡が音を立てて落ちていく。

ほーらね?っと。

そのまま首に腕を押し付け、警棒を先輩の頭の横に立てて音を鳴らせば。

「へえ、ほんとだ」
「…っ!」

この状況でも。余裕の表情を浮かべる先輩に、少しだけ動揺してしまった俺を。

「忠告通り、眼鏡はやっぱり外しておくべきだったかな?」

その動揺を見逃さなかった先輩の、経験値と恐らく歳の差に。あっさりと天地がひっくり返った。

「甲斐君、甘いよね?」
「…わーい。よく言われマース」

耳元で金属音を鳴らされ、あっさり仕返し形勢逆転。あれ、これ俺死んだんじゃね?