眼帯×CHOCOLATE

これが竹刀で、此処が道場で。周りの観客が普通の人だったらどんなに良かったか。

「甲斐君だよね?僕、君のお父さんのファンなんだ」
「マジっすか!あンの糞ジジイの?!」

緊張感があるんだかないんだか。まさかの世間話に、


「「「オイコラ!」」」

再びトリプル突っ込みを頂いてしまった。俺って本当にシリアス向いてないのな!

知ってたけど!自分自身が一番よくわかってたけど!身に染みておりますけど!
 
「悪りかったって!」

一瞬、ほんの一瞬だけ。

仲間の方へと目を逸らしたその瞬間。ヒュッと耳元で風を斬る音が聞えた。

「!」

はらり、はらり、金色の髪の毛が数本舞う。頬の数センチ横にはバットの気配、そして。


「そろそろ本気で行こうか?」

その先の人物からは、先程までの笑顔が嘘のように消えていた。ああ、マジで参ったね。

「先輩、やっぱり眼鏡外した方がイイっスよ?」
「そうかな?」
「そうですよ」

ふう、と大きく息を吐いて。

俺は真っ直ぐに視線をかち合わせる。勿論、向こうさんは既に戦闘態勢に入っているらしく、ガンくれまくってるけど。

「へえ、真面目な顔も出来るんだね?」
「ギャグパートだけの子じゃないんですよ」

「そ?」