眼帯×CHOCOLATE

 
「「「バーカ」」」
「――って、トリプル突っ込みかよ!」

わっと噛み付くように言葉を返せば。

「…っとおぉ?!」

俺の目の前に居た人物が、間髪入れずに金属バットを振り下ろして来た。そりゃあもう力の限り。完全にヤりにくる体で。


「何とも間抜けな始まりの合図だね?」
「いや、俺これでもムードメーカーなんで!場を明るくするのが仕事なんで!そこんとこ、よーーく覚えてて下さいよ先輩!」
「あはは、元気があって良いよ、キミ」

警棒で応戦して、ニヤリと微笑む。すると、相手もふっと微笑んで一旦離れていった。

「僕は三年の、野々上 恵。よろしく?」

ふふふと笑いながらバットをリズミカルに振り回す姿には、正直。背筋が震えるってやつ?

こういうタイプが一番厄介な事を、残念ながら本能で感じ取ってしまったみたいだ。

「あー、先輩とは結構仲良くなれそうなのにな……って無理か!」
「うん、無理だね」

再び、金属が重なり合う嫌な音が響く。

 
「そーいや先輩さあ、眼鏡外したらどうですか?危ないっスよ!」
「ああ、ご心配なく。僕はそんなヘマしないから」

相変わらずにこにこと微笑みながら、これでもかと力を込めてくる。

それに比例して、ギリギリと金属の強く擦れる音は鳴り止まない。参ったねコリャ。

「もしかして先輩、段持ち?」
「あーらら、バレちゃった?」

まさに剣道でいう鍔迫り合い状態。それを、同じタイミングで弾いてお互いに充分な距離を取った。