「先輩、転校でもしたんですか?それ、白鳳学園の制服ですよね?」
銀ちゃんのわざとらしい敬語に、目の前の人物の眉がピクリと反応を示す。こいつが、椎名瑞樹。
「ああ、違うで?これは俺が白鳳学園を潰して来た証や」
「…へえ」
白鳳学園
その名前だけで滲む汗。
銀ちゃんや爽から話だけは聞いていた。俺たちの黒凰学園と対立している、これまた問題児だらけの如何し様もない学園。
確か銀ちゃんがトップになってからは、休戦状態になっていた筈なのに。
「俺は生ヌるいんが大嫌いなんや。せやから、お前を潰す前にアチラさんを先に潰して来たんやで?エライやろ?」
「それは、ご苦労様ですね」
椎名から出ているのか、銀ちゃんから出ているのか、或いは二人から出ているのか。二人を取り巻く圧倒的な空気。
威圧感が半端じゃない。
そう感じているのは爽も要も同じなようで、三人で目配せをして身を捩る。今、俺たちがやるべき事を。やれる事を。
「おーしおし!立ち話もなんですし?パパっとやっちまいますか。銀ちゃん!」
「おう!さっさとすませよーや、銀」
「ご褒美、期待してもイイのかしら?」
軽口を叩いて、恐らく向こうの幹部であろう人物達の前に立つ。ワオ、そんな怖い顔しなさんなって。センパイ方。
「こっちの事は気にしなくてイイからさ?」
「…端から気にしてねえよ」
顔が見えなくても解る、銀ちゃんの表情。
「そりゃ良かった!じゃ、最低五時には帰宅な。俺ンち門限厳しいから」



