「―――…さーまアア!」
おぅん?
どっからか、あんまり嬉しくはねえけど。聞き覚えのあり過ぎる声が聞えてくるような…
「ぎぃいいいんんんさーまアアア!」
おぅん?
やっぱ空耳じゃねえな?完全にアイツだな?完全に…ってカナメェエエ!ドアを!蹴破るんじゃ!ありませんと!何度言えば!済むのかね!こっわ!K1選手かよ!
「……うざ」
ほらもう!銀ちゃんもげんなりな顔してんよ!つうかドアが可哀想!今週何度目だっつのこの破壊神!いっそ銀ちゃん直通のどこでもドア持ってきたげてドラえ●ん!
「ミツも、ウザい」
ボソリと毒を吐いて、銀ちゃんはゆっくりと立ち上がる。おっとっと、まてまてまて。
オーケエ、俺はなにもしていない。ちょっと大袈裟に突っ込んだだけだセーフ。まだ大丈夫。まだセーーフ。
だって要とか銀ちゃんに抱き付いてんよ?しかも、見える筈もないハートマークが浮いて見えてるし。え、なにこれ漫画?
「三秒以内に離れろ」
「イヤ~ン!そんな冷たい銀さまも素敵イイイ!抱いt…寧ろ抱かせろオオオオ!」
あ、やっべ。
これもう手遅れなやつや。オカーサン居た堪れないやつ。つか、マジで誰か止めてやれよ。真っ当に育ててやってくれよ。こいつ普通にイケメンに育つよ多分。た、多分…
「じゃあ、ミッツンが育ててやれば?」
「…あ、久しぶりに漏れてた?」
うんうん、と頷く爽の頭がキラリと眩しい。ハゲだけに。ハゲ☆キラリ。



