眼帯×CHOCOLATE

◆◆◆

異変は、

唐突に俺たちの周りで起きはじめた。

「なー、銀。そう言えばまたヤられたみたいだぜ?」

真面目に眼鏡をかけて本を、…つうか漫画を読んでいた爽が、不意に銀ちゃんに話し掛ける。

別段気になるわけでもなく、俺は手にしていたスマホに再び視線を落とした。

「誰がやられたんだ?」
「確か、青田と滝と坂下だったかな?帰りにボッコボコにされたってよ」

ボッコボコ?

些か聞き流すには穏やかではない言葉に、慌ててスマホを胸ポケットに押し込む。そして、爽と銀ちゃんを交互に見た。

「青田達って、銀ちゃんの取り巻きじゃね?」
「ああ、そうだよ。て、そっか。ミッツンはよくわかんねえよな?」

爽の意味深な言い回しが引っ掛かって。思わず顔を歪めれば。


「……俺が説明する」

ふらりと立ち上がったかと思うと。銀ちゃんは、俺の所までゆっくりと足を運んで腰を下ろした。

「今更だとは思うけど、俺はこの学園でトップに立ってる」
「うん?それは知ってる」
「ミツ、お前を含めて俺たちの集団は殆ど一年が締めているのも知ってるよな?」

そこまで言うと、銀ちゃんは自分の指をポキポキと鳴らした。そして、

「まぁ、要約すると敵が多いって事だ」
「―――」


なんか、肝心な所をはぐらかされた様な気がする。気の所為ならイイんだけどさ…