眼帯×CHOCOLATE

スッと上げられたシャツの下から覗くのは、少し長めのサポーター。

軽く爪で弾いて鈍い音を出すと、要は再び不気味に口角を吊り上げた。あー、成程ね。


「さあ、来なさいよ」
「鉄仕込み、…か」

ハア、と俺は一つ大きな溜息を吐いて改めて要と向き合う。そして、




「?!」

力一杯握り込んでいた警棒を、地面へと勢いよく投げ捨てた。この行動に、要は口をぽかんと開いて眉間に皺を寄せる。

「なあ、もう止めねえ?」
「は?…なんでよ」

俺の言葉が理解出来ないのか、更に深い溝を作る要。

「何かさ、勿体ねえじゃん」

ぽりぽりと頭を掻きながら、戦闘態勢を解いて。俺は、その場にヨイショと座り込んだ。見上げた空はすげえ綺麗な色してて。うん、やっぱり勿体ないわ。


「喧嘩で友情深めンのもイイかもしんねーよ?でもさ、別に必要以上に争う必要はないと思うわけよ」
「…っな!」
「銀ちゃんの右腕とか、そんなん関係なくね?俺らは俺らのままでイイじゃん」
「!」

要もまた、何も言わないままゆっくりと構えていた腕を下ろしていくから。わかってくれたって事で、いいのかな。


「それにさ、これコメディだぜ?んなガチバトルとかされても、読者ついて来れねえって」

「いや、それは関係ない」
「いや、それは関係ねえ」

おっと、傍観者ーズに突っ込まれた。つうか、ホント息ピッタリだな!熟年夫婦?!