眼帯×CHOCOLATE

 
「要、本当に強いんだからね?」
「あー、なんか嫌だけどそれはわかってっから!マジで!」

そう。

素人の目から見てもわかる。こいつ、多分空手かなんかの有段者だ。

ピタリと構えられた隙の無い動き、絶妙な間合いに鋭い目付き。一瞬でも気を抜くと、確実に先を取られる。

「でも、アンタも相当強そうだけどねエ?」

そう言いながら、徐々に徐々に間合いを詰めてくる要。いっそ引いてしまいたい所だけど、そうはいかない。こういった強い奴に引く所なんて見せたら一発でアウト。

「ははっお手柔らかに頼むわ」
「あら、弱気ね?」

ザアと、それこそ漫画や映画みたいなタイミングで吹く強めの風。ベタ過ぎるけど、これ以上の開戦の合図はねえよな。

落ち葉が、ひらり。ひらり。音もなく静かに俺たちの間に落ちていく。ひらり、ひらり…

葉が、地面に触れた。




「!」

ゼロコンマの世界で、先手必勝。俺の警棒が要の右腕にヒットする。でも、この感触。

「ちょっとオオ!要ちゃんは体に鉄でも埋め込んでんの?!サイボーグですかってんだ!人間になってから出直してくれさい!」
「ハッ!馬鹿言わないでよ!てゆうか、気安く要ちゃんなんて呼ばないでよね!」

その見た目からは想像も出来ないような怪力で跳ね返され、再び距離が出来る。

一発で決める気だった俺は、思いっきり振り下ろした事で逆にダメージを受けてしまった。手がジンジンしやがる。やっべえなあ…


「喧嘩は頭、使わなきゃねエ?」