眼帯×CHOCOLATE

――あれから二年。

俺たちは、あの拳を交し合った青春の一ページを経て、急激に成長していっt…


「ミッツン、勝手に完結させようとするの止めような?本番、これからな?」
「あ、バレた感じ?」

密かに脳内偽装回想で事なきを得ようという、俺の浅はかな企みは爽の一撃によって消されてしまった。無慈悲!


「――ミツ!」
「んお?…っとお!」

銀ちゃんに呼ばれ、振り向きざまに投げ渡されたもの。あれ、これデジャヴじゃね?

前にもこんな事があったよ気がすんなーとか。手に収まっている警棒を見つめながら、視線を向ければ。

「そいつ、意外と強いから」
「…マジでか」

銀ちゃんの怖い一言。

でも、さ。ぶっちゃけその言葉よりなによりも。何か、バキョってすげえ音がしたんですけど。これ、後ろ向いたら負けな気がするんですけど。瞬殺されそうなんですけど!

「……ぎ」
「ぎ?」
「銀さまから警棒貰うなんてズルイ!か、か、かな…要……銀さまからゴミ以外貰った事ないのにイイイイ!」

あ、やっべ。

これは辛い。これはアカンやつ。なにこの心境。お母さん?好きな子から相手にされてない我が子を見守るオカーサン?

「てめえ!よこせよゴルアアァ!」
「「素、出てるって」」

だから、二人は息ピッタリ過ぎだっつうの!
 
「っだーー!もうやるしかねえンだな!」

着ていた学ランを脱ぎ捨て、警棒を中段に構えて相手との距離を意図的に取った。そんな俺をみて、スッと要の目の色が変わる。

「やっとやる気になってくれたのね…」

不気味に口角を吊り上げ、同じく学ランを脱ぎ捨てるその姿は。やっぱり、男だわ。