それからなんやかんやで。

いや、端折ったとか言わないのそこ。誰が何と言おうとなんやかんやのなんやかんやで、現在の悲惨な状況に到る。

「銀さん連れて来ました」
「――ああ」

マママママジで勘弁して!これ完全にヤンキーの親玉的な人だよね?!俺イッッッチバン連れて来られたらマズイ所に連れて来られたよね?!

やっべえ変な汗出てきた。これが俗に言う冷や汗ってやつか。ワオ、お初にお目にかかります。出来ればもっと別なところでお目にかかりたかったです…

そんな汗ダラッダラ膝ガクッガク状態の俺を尻目に、周りのヤンキー共はニヤニヤニタニタ嫌な笑みを浮かべてやがる。

殴 り て え

殴り飛ばしてやりてえ。なんて、そんなの無理だって事ぐらいわかってるけど。

「おい、てめえらは席外せ」
「え、何でッスか銀さ…」

「いいから言う通りにしろ」

そこそこ荒れた室内に、凛とした声が響き渡った瞬間。――察した。


ああ、もうマジやべえじゃん。こいつ本気でやべえ奴じゃん。たった数言で、ピリッとした空間を作り上げる影響力、理不尽な命令にも素直に従うヤンキー達。その答えがわからないなんて間抜けな台詞を言うつもりはない。


「―――」

嫌な、沈黙が続く。

ずっと窓の外を見ている男の後姿だけを見ると、正直そこまで強そうには思えなかった。背なんか俺より大分低いし、体だってすげえ華奢に見える。

でも、陽に透ける銀色の髪の毛が印象的で魅力的にさえ思うのは何故だろう。

そして、

遂に男が俺の方に顔を向けた、刹那。