「あいつは、三嶋 要。俺らとタメで、あんなナリしてっけど列記とした男な?」
「ほうほう、それで?」
ちらりと、真剣に話をしてくれている爽を盗み見ると。豪快に頭を掻いている最中で。
ハゲが頭掻いたら筋残んだろーが。なんて、割とどうでもいいことを考えながら現実逃避を決め込もうとしていた。
いや、マジ現実逃避でもやってねえと死ぬわ。俺のなかの常識と微かな希望が。
「んで、銀の事すげえ敬愛してて。常にあんな感じなわけよ。そんでもって…」
――バン!
ビクリと、肩が跳ねる。
「ちょっとアンタ!要と勝負しなさいよ!」
「…は?」
物凄い形相で飛び出して来た要とやらは、俺に向かってズビシと指を立てながら絶叫した。いや、いやいや。なんで俺?なんかした?つうか、人を指さしちゃいけません!
ヘルプミーよろしく、爽の方へと顔を向けると。たっぷりと間を取った後に、ビックリするぐらいの苦笑いで一言こう言い放った。
「自称、銀の右腕なんだよ」
オーマイガー…
ずんずんどこどこと迫ってくる要に、若干引き気味の俺。つうか睫毛長ええ!しかも良い匂いだなこのヤロオオオオ!
「ふん!顔はまあまあ男前だけど、可愛さはダメ!絶対に要の方が可愛いもん!」
いや、男にもんとか言われても。そら、顔はその辺の女より確かに可愛いけど、何やかんやで男なわけで。君の股間には要ちゃんの要くんがエレファントなわけで…
「銀さまの右腕は渡さないんだから!何よ!幼なじみってだけで、銀さまの近くに居られるなんてズルイ!…う、うう…羨ましい事山の如しじゃゴルアアアア!」
「素、出てる…」
「素、出てんぞー」



