神様は楽しくないかもしれないけれども、作者は楽しかったりするのだよ。――充くん。


「ア゙ァン?!ちょ、ちょちょ!」
「ミツ、落ち着け」
「だああぁって!い、いいい今!天からの声が聞えたんですけど?!聞こえちゃいけない声がポロリと聞えたんですけどオオ!つうかコイツ割と簡単に表舞台でてくるな?!」
「もう黙れよ、ミツ」

「…おうっふ」

この世には、神も仏も良作者も居ないのか。ついさっきまでは神も仏も、ついでにお代官さままで居たのに。

なるほど、作者か。作者がアレなのか。チクショウ!グレんぞ!俺、グレんぞオ!

「凄い色の頭になったんだし、イイんじゃねえの?そのままグレたら」

銀ちゃんに冷静に心の声を突っ込まれ、ピタリと全ての動作が思考回路を含めストップする。なにこれ、辛い。

「どっちにしろ、もうミツは幹部なんだし。…覚悟、決めたら?」

本日、

何度目かの不敵な笑みを浮かべる銀ちゃんの手には、スマートフォン。今、とっても良いシャッター音がしましたね?しましたよね?

「コレ、皆に送っとく」

念押しの笑顔。

もう、逃げられないってか。いやまあ、逃げるつもりはねーんだけどな。一応、これでも腹括ってんのよ。そこんとこおわかり?

けど、さ、


「どうせなら男前に撮ってよ」

俺の虚しすぎる声は、宙に浮いて消えてしまったけれど。それと引き換えに、レア過ぎる銀ちゃんのケラケラ笑いが聞けたからヨシとしよう。

そのまま、バスルームに置き去りにされたことは忘れて。金髪の、俺ひとり残して。


置き去りにされたことは。