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ツンと鼻につく刺激臭。

手にはめられたビニール手袋に、ジンジンと痛む頭皮、ベッタベタのオールバック。


「てか、長げええよ!」

絶賛髪染め中の俺に向かって、全力で突っ込みを入れてくれる銀ちゃん。そのお顔は、対面する鏡を見なくたってわかります。ええ、わかりますとも。

「あ、やっぱりやり過ぎた?」
「ミツ、どんだけ過去語り長いわけ?正直、途中で飽きたしイライラしたんだけど?」
「ウッソ!マジで?!」

頭がブリーチ剤まみれの為、あまり動けない俺だけど。精一杯、身振り手振りの外国人バリのジェスチャーで心を込めて返事をする。伝わって!このプレシャスハート!

「液飛ばしてくんなクソ野郎!」
「ひでぶ!」

ああ、銀ちゃん。

いつからそんなに言葉遣いが悪くなってしまったのよ。あと、手も早くなりましたのことですね。勿論、別の意味で。

昔はあんなに以下略だったのに。オカーサン悲しい。悲しくて泣いちゃう。

「誰がオカーサンか!」
「ウオッ!また漏れたー?!」
「だだ漏れだっつってんだろうが!いつもいつもいつも!ホント変わんないね!ミツ!」

怒られちゃった、てへ。

つって、カワイ子ぶったら足をおもっくそ踏ん付けられた。しかも小指を重点的に。コレ地味に痛いやつ。

「素っ裸で森に行って来い」


――てへ。