不意に耳に届いた、聞き覚えのある声。

バッと勢いよく顔を上げると、目の前には黒凰の学ランに揺れるふわふわの髪の毛。

「…っ!」

体育館の中に吸い込まれて行くその後ろ姿は。と、同時に、地鳴りが最高潮に到達した。

いや、マジで地面割れちゃう的な。地球砕けちゃう的な、おっそろしー感じのアレ。

「へ、あ、え゙ぇぇ?!」

ぼさっと油断している間に、銀ちゃん達も居なくなってる事に気付き、俺は慌てて体育館の中に飛び込んで行った。




「どぅわ!」

キーーーン!と、鼓膜を劈く不快音。

耳を塞いで、恐る恐る目を開ければ。そこには、お前ら本当に一年生ですかサバよんでんじゃねえぞコラアアアな強面連中と、壇上に上がっている銀ちゃんの姿。

ああ、要の言ってたのってコレな…


銀ちゃんの手には、

マイクとチョコレート


「てめえら、うちに入って来たんなら覚悟は出来てンだろうな?」

パキッと余裕綽々の顔でチョコを口に含みながら、銀ちゃんがマイク越しにドスを利かせる。そんな銀ちゃんに向かって、一人の生徒が殴りかかりに…

「はーい、一年坊がいきなりトップに触れられると思うなよ」
「うふふ、身の程知らずさん」

行って、

爽と要からカウンター喰らって倒れた。ちょっと待て!マテマテマテ!これじゃあ…