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――新春。

こんなヤンキーだらけの荒んだ学園にも、綺麗な桜は咲いているわけで。

春だねえ、と黄昏つつ。もう二年生かと進級のむず痒さをひっそりと味わっていた。


「おーい、ミッツン!」
「あいよー」

はらり、はらりと舞い散る桜の花びら。それを背に受け、俺は両手を上げて大袈裟に返事をする。

「今年の新入生はどうよ?」
「んー、なかなか面白そうよ」
「へえ!マジでか」

要と肩を並べながら、先に行く爽達を追い掛ける形で、いざ!――体育館。

つっても、式は毎年荒れに荒れてあってないようなものらしいけど。


「何でわざわざ行くんだ?」

俺は転校して来たから、その辺の詳しい事は知らない。だから、ものごっつ初歩的な質問を要にしてみると、


「銀さまの雄姿が見られるわよ」

ニタアっと、ほくそ笑んで走って行った。いや、俺、置き去り?

「わっかんねーなあ」

ガシガシと頭を掻きながら、銀ちゃんに抱きつく要を見送って溜息を吐く。

てかさ、体育館に近付く毎に、すげえ地鳴り的ななにかが聞えンのは気の所為?この雄々しい感じの嫌な空気はなに?




「先輩、何固まってんスか?」