この空の様に、

これからは虹の心が晴れ渡りますように


悩まなくていいよ。虹は皆に愛されてんだから。鬼島の所にでも、俺たちの所にでも、両方の所にでも、思うままに戻ればいい。

ただ、そんだけだ。





「さて、俺らも帰ろうか」

空から視線を皆に移し、って、オイィイイイ!誰も居ねえじゃねぇええかあああア!


「あれ?甲斐君は置き去り?」

大きなエンジン音と共に聞えて来た優しい声。うん、でも完全に笑ってますの事ですよね?声、震えてやがりますの事ですよ?

「……お前、不憫やな」
「ファッ?!」

遂に、絶対に突っ込みを貰う事はないと思っていた人物から、突っ込まれてしまった。しかも的確に。

「て、天変地異のはじまりか…南無…」
「あはは、意味わかんないや」

そう言いながら、颯爽とバイクで去っていく先輩達にいよいよ一人ぽつねん状態。

ボッチ極めてる状態。


「やっぱり、こーなんだな」

額に手をあて、溜息を吐きながらしゃがみ込む。瞬間、ポケットの中が振動した。

「?」

取り出したスマホの画面に表示されている名前は、


「銀ちゃん!」
『馬鹿ミツ、さっさと来い』

優しいんだか、厳しいんだか。




「主役は遅れて行くもんだろ!」

――って、後でどーせ殴られンだけどな。