眼帯×CHOCOLATE

ただ、この事件以来銀ちゃんには“裏ボス”の称号が与えられ、ブチ切れると誰よりも恐い人と皆の間で噂される様になったのは、――言うまでもないよな?


余談ですが。

銀ちゃんを守れなかったという失態が杏姉にバレた俺は、後日呼び出しを喰らってボッコボコにされましたとさ。なんという綺麗な三段オチ。

『ミィイイイイツウウルゥウ!』
『ギャアアアア!だからまって!マジでこれは待って!嘘!俺がチョー悪いごめんなさいイイイイ!お願いだからパンツ剥ぎ取ろうとするのヤメテ!ほんとヤメテエエ!』


銀ちゃんとの思い出と
杏姉との痛い思い出
恐怖のバレンタインデー


この日から俺は、チョコレートが苦手だ。そして、女の人も苦手になってしまった。

まあ、モテちゃうんですけど。残念ながらモテちゃうんですけどね。バレンタインには割とチョコとか頂いちゃうんですけどね。食えねえんだよ!なにこの悪循環!つらお!

それでも、

可愛い幼なじみとの大切な思い出。いや、お姉さまには大変痛い思いをさせられたんだけども。だとしても。どうしたって宝物みたいに輝いていたあの日々。

程なくして親の都合で転校してしまう事になった後も、随分と心の支えになっていた。

銀ちゃんはどうしてるかな?元気でやってるかな?なんて、思いを馳せながら見知らぬ土地での一からのスタートを、頑張っていたんだ。


まさかさ?

銀ちゃんが、あんな風になっているなんて知る由もなく。


『てか、銀ちゃんじゃね?』

ヤンキーだらけの世紀末夜露死苦な男子校。その、頂点に立つ銀髪眼帯の美少年は、俺の嘗ての幼なじみでした。

大切な思い出はどこへやら。あの頃の泣き虫な銀ちゃんは消えてなくなり、混乱だらけのなか唯一、


『久しぶりだな、ミツ』

俺を呼ぶ声は。







「まさかの、劇的な再会ってやつな」