眼帯×CHOCOLATE

虹の存在に気がついた先輩が、ゆっくりと足を進めながら背伸びをした。

「鬼島から、伝言を預かって来てるよ」
「…え」

それは、意外な言葉。

俺ですら意外に思ってしまったのだから、きっと虹にはもっと衝撃が強かっただろう。


「まず、巻き込んで悪かった。お前はもう一人じゃないんだな。お前の進みたいように行け。お前が幸せなら、それでいい」
「…っ！」

ぽろぽろ、
ぽろぽろ、

再び溢れ出す涙。


「大事に、されてたんだね？」

先輩の低くて柔らかな声が、虹を包み込む。それが拍車を掛けて更に涙を作った。

「行ってあげなよ」
「そうだな、ちゃんと話をしてきな？それからまた、お前が戻りたいと思った時にいつでも戻ってくればいい」
「…せん…ぱい？」

涙で潤みっぱなしの瞳。でも、その瞳に映るのは、

「虹の居場所は、俺達の所にもあるから。だから行って来い」

虹の視点が定まっていく

瞳の色が、表情が、

「―――！」

もう、解ったよな？誰も、お前の事を恨んだり嫌ったりなんかしていないって。

皆の顔が、その唯一の答え。