眼帯×CHOCOLATE

当たり前だった事が嬉しい。当たり前だった事が、幸せ。


「言っとくけど!要をこんな風にしたのは虹じゃないからね!」
「わーってるよ、バーカ」
「…最っ低!充にだけは言われたくないわ!……てめぇが底抜けのバカじゃゴルアァァ!オモテ出ンかいオラアァア゙!」

色々な箇所から血が抜けていて、フラフラの状態だってのにガーガー叫ぶ要。しかも素が出てる。オッサン召喚してる。

そんな要を宥めるように、両脇をガッチリと支える爽と瞳ちゃん。銀ちゃんは、呆れ顔で見守りながら虹の頭を撫でていて。


「あーあ、やんなっちゃうね」

俺は、薄暗い体育館倉庫を飛び出した。外はさ、すっげ良い天気なんだよ。なあ?

「ごめ……なさ…ごめ…」

しゃくり上げながら、言葉をたどたどしく紡ぐ虹。虹はさ、早く顔を上げてみたらいいよ。皆の顔を見てみたらいい。

「もう謝らなくてもいいわよ」

要は背中を擦り、爽は言葉を続ける。

「そうだよ、んな謝ンなって」
「で、でも…ボク、先輩達裏切って……鬼島サンも裏切って…ボク…」


“鬼島”

その名前が出てきた事で、俺達の呼吸が重なり合う。やっぱり、虹の後ろに居たのは鬼島か。

既に繋がりかけていた糸が完璧に繋がり、その事で余計に虹がいじらしくなった。